FC2ブログ

記事一覧

「花燃ゆ」方向性の違い~晋作と玄瑞/攘夷長州奮戦

大河ドラマ『花燃ゆ』
 第22回「妻と奇兵隊」作:大島里美
【攘夷開戦 ~ 女台場】
 1863(文久3)年、久坂文(ふみ 井上真央)は数え年21歳、小田村伊之助(大沢たかお)35歳、久坂玄瑞(東出昌大)24歳。
 
玄瑞たちは5月10日を期して攘夷戦を敢行しました…!
しかし、6月には熾烈な報復攻撃を受け、早くも敗勢に。
高杉晋作(高良健吾)が呼び出され、「正面からは勝てぬ相手、ならば奇策をもって戦う兵を作ります。名付けて、奇兵隊。身分に関わらず兵を集め、隊を作ります。…戦う志のある者は、皆入隊させる」
 
(はぎ)にも異国が攻めてくる恐れが出てきて、人々は台場(土塁)を築き始めました。
文たち女性陣も一緒になって築造したという、萩の菊ヶ浜の(おなご)台場です。
まさかそんなものが実在するなんて知りませんでした。女台場の存在に気づいた脚本家、“これで1話できる”と、喜んだことでしょうね。テコ入れが進み、その喜びも今や昔…?
なにはともあれ、しまいには毛利家奥御殿の総取締役・園山(銀粉蝶)とやらまで現れ、みんなで防衛拠点の台場作りに励んだのでした。
 
 



 ドラマがもっと楽しくなる!
大河ファンのために(=^^=)
【方向性の違い ~ 晋作と玄瑞】
 当時の高杉晋作久坂玄瑞を比べると、人望では断然玄瑞のほうが上でした。まえにもちょっと書きましたが、奇兵隊は晋作が急に組織に成功したわけではなく、玄瑞が結成したいわゆる光明寺党(有志組)がもとになっています。あくまで玄瑞の人望や政略があってこそ人が集まって基盤ができ、のちに晋作の奇兵隊構想も実現できたのです。
 
久坂には誰も付いていきたいが、高杉にはどうもならんと皆が言う…、高杉の乱暴なりやすきには人望少なく、久坂のほう人望多し」と、松下村塾生の天野清三郎(渡辺蒿蔵)が語り残しています。玄瑞人気は大きかったのですから、状況によっては、玄瑞が奇兵隊を率いていてもおかしくなかったはずです。
ところが、攘夷戦直後、玄瑞は朝廷への戦況報告や政治工作のため、光明寺党の党首・中山忠光(後のいわゆる七卿の一人)らとともに上京してしまったのでした。尊王派公家の姉小路公知(あねがこうじ きんとも)が暗殺された事件(5月20)も影響していたのですが、とにかく玄瑞は政治家的な側面が大きかったようです。長州での一時的戦闘より、中央政局をにらんでいたのでしょう。
 
晋作は玄瑞に比べると人望が劣ったんでしょうが、あくまで比較した場合です。ここぞという時に、何かやる男だと思われていました。さらに、高杉家は代々続いて毛利家からの信頼厚く、特に晋作は藩主父子である毛利慶親(敬親)・定広(元徳)に非常に愛着もたれていました。そのこともあって、晋作は攘夷戦敗北の非常時に抜擢され、奇兵隊構想を一気に実現できたのでした。(藩主父子)からも下(低身分者)からも、そしてパトロン(豪商の白石正一郎など)からも慕われたというのは強いです。
 
さて、ドラマでは奇兵隊は身分無関係で四民平等、それで志重視の面だけが強調されていました。しかし、実は、晋作はただ単にエサをまいただけではありませんでした。そんなことでは、まともな軍隊は組織できません。
晋作は「軍中法令」を出し、奇兵隊は総督(晋作)‐伍長‐一般隊士というピラミッド組織であるとし、指令は上意下達を徹底晋作のくせに風紀にうるさく、無断外出・酒色乱行・喧嘩口論など禁止…というふうに規律徹底に苦心したのでした。無頼の輩も少なくない中で、こうした組織運営は必須でした。
 
【攘夷本格開戦で長州も奮戦】
 話が少し前に戻りますが、1863(文久3)年5月10日に始まった馬関攘夷戦は、当初は、事情を知らない外国艦船に向けて一方的に砲撃するだけだったので、長州側が戦果を上げました。5月23日にはフランス軍艦キンシャン号を攻撃し、まもなく抗議の上陸をしようとしていた仏軍4人を射殺。5月26日にはオランダ軍艦メデューサ号を攻撃、この時は砲撃戦に発展し蘭軍4人を戦死させました。
 
6月1日、とうとう万全の戦闘態勢を整えた外国軍艦が現れます。アメリカ軍艦ワイオミング号です。戦闘時間は1時間余り。その間、ワイオミング号は55発もの砲弾を発射。長州軍艦の庚申(こうしん)丸と壬戌(じんじゅつ:長州唯一の蒸気船)丸が撃沈され、残る癸亥(きがい)丸は大破しました。亀山砲台も大破。しかし、長州側はやられっ放しだったわけではありません。ワイオミング号に何と20数発の砲弾を命中させており、米軍6名を戦死させました。この時は、なかなかの奮戦振りだったと言えます。
 
ただ、6月5日になると、フランス軍艦セミラミス号とタンクレード号が上陸戦を仕掛けてきて、陸戦隊250人が上陸。前田砲台が占拠・破壊され、前田村の全戸20数戸が焼き払われてしまいました。その間、長州藩兵20名ほどが戦死。残念ながら完敗です。また、長州軍の総奉行・毛利宣次郎が率いる馬関防衛本隊は、攻撃を避けるばかりで出撃命令さえなくあまりに消極的で、批判・嘲笑の的となりました。このふがいない武士本隊(正規兵)の戦い振りが、晋作・奇兵隊抜擢の背景にあります。
 
  ~主な参考文献~
海原徹『高杉晋作』(ミネルヴァ書房)p.145166275
関厚夫『紅と白 高杉晋作 伝』(産経新聞連載)124131
 
 

   ブログ村に参加してます~

 https://tv.blogmura.com/tv_jidai/ranking.html←ブログ村「大河ドラマ」ランキング

 

   ブログラム ランキングはこちらです~(清水しゅーまいページ)

   ↓徳川家康、豊臣秀吉、裁判傍聴、猫など


スポンサーサイト



コメント

No title

「晋作のくせに」で笑うた(^ω^)!

No title

☆Sophiaさん
記事を読んで戴きましてありがとうございます(^-^)
晋作は自分に甘く
他人に厳しい人だったのかもしれません(笑)

No title

詳しい解説ありがとうございます
しゅーまいさんの解説をドラマでやってもらいたいんですが・・・
奇兵隊が出てくるんだから山形有朋も大村益次郎も当然出演しないといけないんですがねえ
ALLポチ

No title

☆とん子さん
ALLポチどうもありがとうございます(=^▽^=)
せっかく玄瑞が主人公のだんななのだから
もっと功績の面を強調して欲しいと思いました(^-^)
晋作に劣等感を持ち過ぎるのは
ちょっと安直な気がしました~。
山県有朋は出たほうがいいと思いますね…!
大村益次郎は話が広がり過ぎて難しいかも?

No title

なるほど なるほど 今回おかあさまが 攘夷って何何?って

きかれ うまく説明できなかったのですが 主人がうまく説明してくれて 納得

しゅうまいさんのように 毎回解説していただき ほんとにありがたいです^^v

No title

歴史というのは勝者のものですものね。実際のところはわからないから物語が面白くなりますね。色々外国と戦ったんですね。教科書ではそんなことは描いてないです長州藩は完敗と位でしたものね。いろいろかいせつしていただきたのしいです
ないす

No title

こんばんは。
いつもながらのこちらのブログを読む事で、より深い認識を得ています☆
なんか久坂さんが仲間はずれっぽい描かれ方でしたし、なんか反対を押し切って
ただ京都に逃げたって感じになっちゃってますね~

No title

☆サッチさん
ナイスありがとうございます(^-^)
このまえ右翼らしきゴツい車に
でっかく「愛国攘夷」という看板が付いてました(笑)

No title

☆みっちゃんさん
ないすありがとうございます(^-^)
そうですね、歴史は勝者のものになりがちで
なかなか公平に見ることは難しいですね。
長州でも勇戦した人々がいました。
完全戦闘態勢の米軍艦相手に一矢報いたのは
見逃せないと思います。
たぶん、この時に敢闘したことがあって、
のちに長州(晋作)は外国との交渉に成功したのではないかと思います。
敗れてもなお強い意志を見せることが
重要なのだと思います(^∀^)

No title

☆ハニー先輩さん
いつも記事を読んでくださって
大変感謝しております(=^▽^=)
久坂玄瑞が晋作に劣等感を持って
意固地になるというような描かれ方でしたね~。
実際の玄瑞はそうとう意志の強い、
へこたれない男だった気がするんです、
奇兵隊結成に至る貢献度も高いし。。
まぁ 実際通りじゃなくてもいいんですけど
繊細なところをヘタにいじくらないで
ほしいなぁと思って見ていました(^ ^ゞ

No title

そうですねなんか意地になってるみたいな 感じでしたね
実際はそうなのですねN

No title

☆ぎいさん
Nありがとうございます(^-^)
ドラマの玄瑞は意固地になって居場所なくて
とうとう京都に逃げ出していくような感じになってましたね。
実際も状況に焦っていたかもしれませんが
ちゃんと政略があって
仲間とともに京都を目指したようです(^-^)

No title

実は久坂が、どれくらい大物だったのかドラマを見てもサッパリ判らなくて違和感なんです^^;

幕末史に疎いので、いろいろ端折られると話の流れから置いてけぼりくらいます^^;

前回は色々と盛りだくさんで楽しかったです^^

ALL(*´∀`)ノ★ぽち

No title

☆栞さん
ALLぽちどうもありがとうございます(=^▽^=)
玄瑞のドラマ独自設定が、なんか妙に劣等感ある
そこらのお兄ちゃんみたいになっているので
ちょっと残念です~。
普通の民放ドラマだったら、悪くないのかも
しれないけども、もう少し実像を踏まえて欲しいなぁ~
ってのが正直な感想です(^ ^ゞ

女台場は知らなかったし
なかなかおもしろかったです(^-^)

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム

プロフィール

清水しゅーまい

Author:清水しゅーまい
ご訪問ありがとうございます(^-^)
 このブログは、
①大河ドラマや歴史の話題、②猫観察、③映画鑑賞、
④裁判傍聴、⑤日本酒など……という感じになっております。
その他、本やテレビ、お気楽な話題に時事問題、
そして、友情・人情・心意気です!

猫愛好家のフリーなライターです

清水しゅーまい
【著書】
『車猫が出てきた! ~ノラ猫の秘密~』2018年(東京図書出版)
『八っつぁんの落語一代記 噺家の来た道、日本の来た道』2015年(彩流社)
このブログを含めてcopyrightは清水しゅーまいです。
 ご訪問のみなさまに幸あれ!
  私にそのおすそ分けあれ…!!

最新記事

カレンダー

11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

最新コメント

月別アーカイブ