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再読「戦国の長嶋巨人軍」いわゆるタイムスリップ

 迷作小説、志茂田景樹『戦国の長嶋巨人軍』(実業之日本社)を久し振りに読み返しました。
1995(平成7)年の本で、当時の巨人軍選手らが登場します。
 

 
【長嶋巨人軍に葛藤は無い】
 プロ野球の長嶋巨人軍は、心身鍛練のために自衛隊の実弾演習に参加。その最中、謎の地殻変動が発生し、回りの景色が一変してしまいます。ベテラン選手の落合博満らが偵察に行き、やがて帰還すると、驚くべき報告をしました。どうやら自分達は、1560(永禄3)年、織田信長 対 今川義元の合戦が始まる直前にいるらしい…。監督の長嶋茂雄が言います。
「じゃあ、俺たちはいわゆるタイムスリップをしたということか。…… いわゆる桶狭間の合戦の日に飛び込んでしまったか。しょうがない、これも俺たちの運命だ」
 あっさり運命を受け容れます。まもなく合戦が始まりました。長嶋巨人軍が状況を注視していると、奇襲を受けた義元が必死に逃げ、そこに今川軍の後続部隊が合流しつつあることが判明。信長が義元を討ち逃す可能性が出てきたのです。長嶋監督は、好奇心が強くて既成概念にとらわれず斬新で大胆な信長が好きでした。信長への加勢をほとんど即座に決断します。
「よし、撃てい!」
 長嶋は、90ミリ拳銃を振り回して命令した。
 ゴジラ(松井秀喜)、落合ら十五人の兵は、64式小銃で騎馬武者の群れを狙った。
 ダダダダダッ!……
 右往左往する騎馬武者がバタバタと落下していく。
 長嶋は、ニヤッと笑った。
 
 タイム・スリップ作品の多くには、「歴史を改変してはならない」などという葛藤があるものですが、長嶋監督たちにはそんな小さな悩みが無いどころか、迷うことなく今川兵を撃ち殺してしまいます。なんとも大胆です。
 
【野球巡業で家康軍や信玄軍とも対戦】
 さて、長嶋巨人軍は織田家重臣の柴田勝家づてに褒美をもらいました。召し抱えの話も出ましたが、丁重に断り、その代わりに清洲城下居住の許可を得ました。やがて信長自身が訪ねてきて、長嶋巨人軍が業(なりわい)にしている野球に興味を持ちます。巨人軍が野球の実演を行なうと、たちまち信長はとりこになり、野球奉行を置いて家臣団にチームをつくらせました。
 野球の試合とその練習は、じゅうぶんに兵の鍛練に役立つと考えたからである。……
 織田領内の野球の普及は、領民の心を一つにまとめることにも役立った。……
 農民のチームに強打者がいる、駿足の者がいると聞けば、すぐに召し抱えた。……
 野球用具の製造・発売は生駒家が専売で引き受け、長嶋巨人軍にはその売り上げから看板料が払われるようになった。
 まもなく巨人軍と織田軍の野球試合が行なわれるのですが、おもしろいのは、作者が評価する武将は野球が上手く、評価の低い武将は野球も下手なことです。木下藤吉郎(秀吉)は呑み込みが早く、ポテンヒット。佐々成政は連続で球を見送った末に、信長から「お前はいつも煮えきらぬぞ!」と怒鳴られ、空振り三振。佐久間信盛も三球三振で、「このうつけが!」と信長から鉄扇を投げつけられてしまいます。
 
三河の松平家康軍とも試合します。本多忠勝がランニング・ホームランを打つなど、大活躍。野球巡業で出かけた駿府今川では、新当主の氏真(うじざね)が終始退屈そうな表情で観戦しているのを見て、長嶋は見限ります。そして、甲斐の武田家へ。武田信玄に野球について語ります。
(長嶋)「九人が臨機応変に力を合わせ、攻め、あるいは守り、失点を重ねれば敗北に結びつきます」
(信玄)「ふうむ、実戦の機微が野球にはあるか」
 ここでも試合を実施。武田はなかなか手強く、名将の秋山信友槇原寛巳から豪快なホームランを放ちます。また、いずれ信玄の後継者となるはずの四郎勝頼やその弟の仁科(にしな)盛信は、長嶋の話に真摯に耳を傾けます。一方、歴戦の重臣である馬場信春、山県(やまがた)昌景、内藤昌豊らはピンとこない表情です。
(勝頼)「我が武田軍は、けっこう強いチームになりそうか」
(長嶋)「はい。しかし、野球のおもしろさがよくおわかりにならなかった方々もおいででした」
(勝頼)「ああ、家の周りにいるタヌキどもだろう。あいつらは古い」
 野球に関心を持つかどうかが、この小説での武将の評価に直結しているのです。
さて、松井秀喜はこの時代でも「ゴジラ」の愛称で民衆からも親しまれます。その一方で、桑田真澄は「巨人軍饅頭」を売り出して失敗し借金を抱える身に。
 
 ある時、長嶋と落合が京都の店で飲んでいると、足利15代将軍義昭の代理の武士がやって来ます。
「上様には、巨人軍のお力を、…… 逆臣織田信長を滅ぼしてほしいと言われておる」
 どうする、長嶋巨人軍…!?
 
 大胆な設定で物語が始まるわりに歴史改変はほとんどなく、拍子抜けしました。また、文章が稚拙な感じでズッコケますが、戦国時代好き、往年の長嶋巨人軍好きのかたは楽しめるかと思います。
 
 


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コメント

No title

こんばんは。
なんとも奇想天外な設定&お話ですね。
この記事を読んだだけでも、かなりお腹いっぱいな感じです。

No title

☆ハニー先輩さん

読んで戴きましてありがとうございます(^-^)
そうとう荒唐無稽な感じですが
戦国ファンやプロ野球ファンは笑いながら読めると思います。
機会がありましたら、読んでみてください。

No title

わたしもしゅーまいさんのブログを読破しました(笑)^^

なんか はまる人ははまるのでしょうね^^

No title

☆サッチさん
ナイスポチありがとうございます(^-^)
読破にも感謝です☆

これだけでもう戦国時代の基礎知識は
だいじょうぶ…なわけないですね(笑)

No title

小説のキャラが実在の長嶋さんみたいで面白いですね^^

村ナイスヽ(*´∀`)ノ★ぽち

No title

☆栞さん
村・ナイスぽちどうもありがとうございます(=^▽^=)

長嶋監督はタイム・スリップの原因を考えることもなければ
今後の心配をすることもなく
全てを受け容れてしまうところが本人らしくていいです(笑)
バカバカしい内容ですが
有名武将がたくさん出て来るので
それなりに楽しめます(^ ^)

No title

懐かしいな
架空戦記が好きで、紺碧の艦隊、旭日の艦隊の影響から
景樹の激烈!帝国大戦、極光(オーロラ)の艦隊、孔明の艦隊を読みあさりました

架空戦記のドラマでも何処かでやってくれると嬉しいな

No title

☆reo-310さん

架空戦記もののファンですか(^ ^)
ワクワクしますよね。
ドラマ化は『戦国自衛隊』ぐらいでしょうかね、
大がかりになるのでなかなか見れないですね。

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清水しゅーまい

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①大河ドラマや歴史の話題、②猫観察、③映画鑑賞、
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猫愛好家のフリーなライターです

清水しゅーまい
【著書】
『車猫が出てきた! ~ノラ猫の秘密~』2018年(東京図書出版)
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