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『坂の上の雲』決断/ロシアの人々に愛と友情を込めて

まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。……
彼らは…、前をのみ見つめながら歩く。のぼってゆく坂の上の青い天に、もし一朶(いちだ)の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて坂を上ってゆくであろう。
 
 
 【日本の決断】
 第2部の最後、「広瀬、死す」
御前会議が、ついに開戦を決定しました。
1904(明治37)年2月5日、佐世保港に碇泊中の連合艦隊 司令長官 東郷平八郎(渡哲也)のもとに封密命令が届けられ、開封されました。すぐに各隊の指揮官と艦長が旗艦三笠に呼び集められ、命令書が読み上げられます。
「連合艦隊は、かねての画策によりまずロシア太平洋艦隊を撃滅して海上の統制をせんと欲す。
ただちに、これより黄海に進み、旅順港および仁川港にある敵の艦隊を撃滅せんとす」
6日、日本はロシアに国交断絶を通告。
8日、駆逐隊が奇襲のため出撃…。
 
 
 【閉塞作戦開始…! 指揮官達の決断】
 一大決心のもとに奇襲を実行したものの、成果はいま一つ。
そこで、「戦わずして敵艦隊の能力を封じる」ための旅順口閉塞作戦が検討されました。港の出入口に、汽船を自沈させて敵艦隊を閉じ込めてしまおうという作戦です。しかし、閉塞作戦に詳しい参謀 秋山真之少佐(本木雅弘)が、要塞の火力を脅威として作戦に異を唱えると、先輩の参謀 有馬良橘中佐(加藤雅也)は、
「敵を恐れてばっかりやったら、何もでけんで。立案したわしが隊長として死地に飛び込むんやったら、
文句はあるまい。わしが決死の覚悟で、閉塞戦の先頭に立ち、必ず成功させてみせる!」
 
作戦敢行が決まり、指揮官の一人に抜擢されたのが、戦艦朝日 水雷長の広瀬武夫少佐(藤本隆宏)。艦隊出撃直前に真之と会った際、広瀬は「今度のロシアとの戦は、… いわば仲のいい兄弟と殺し合うようなもんじゃけん。おれにしかできん役目があるはずじゃ。… 生還を望むべくもない作戦でもかまわんち」と発言していました。
その時の真之…「生還できないような作戦は、初めから立てません」
 
 
 【ロシアの人々に愛と友情を込めて……】
2月23日、最初の作戦が失敗しました。3月27日、第2次作戦を敢行することに。広瀬は2回とも、自分が指揮する船にロシア語の横断幕を貼りつけました。
「親愛なるロシア海軍諸君。たとえ敵と味方に分かれても、広瀬武夫の名前は忘れんでほしい。余は変わらず君らの友人である」
 という内容。駐ロシア武官だった広瀬には、ロシアに大勢の友人がいるのです。
また、万一 自分が戦死した時を考え、ロシアで自分を想ってくれている女性アリアズナ・コヴァリスカヤ
(マリーナ・アレクサンドロワ)に宛てた手紙を書き、真之に託したのでした。
 
第2次作戦で旅順口へと船を進めた広瀬や有馬たちは、敵に発見され、激しい砲撃を受けます。待ち伏せの駆逐艦までいました。広瀬が指揮する福井丸は、何とか自沈準備を終えましたが、砲火の嵐の中で杉野孫七 上等兵曹が行方不明に…。広瀬は脱出用のカッター(手漕ぎ船)に部下達を待たせ自ら杉野を探し回ったものの、ついに見つからず…。やむなく探索を止めて脱出。しかし、“朝日”のような まぶしい探海灯に照らされたと思った瞬間……。
 
 
 【日露両国で慕われた広瀬 その影響力】
 広瀬の死を受けて、ロシア海軍はロシア正教にのっとって手厚く葬儀を行ない、その記事が旅順の
新聞「ノーヴィ・クライ」4月3日付に載ったのでした。
 
 まもなく日本では、連合艦隊 司令長官報告の文章をもとに、文部省唱歌「広瀬中佐」(戦死後 即日昇進)が作られ、「軍神」にされました。広瀬のエピソードは、私が中学生の時の歴史教科書(1990年頃)にも たしか載っていて、印象に残っています。
 
なお、閉塞作戦は5月3日にもう1度、今度は指揮官を代えて決行されますが、またもや失敗に終わります。が、日本海軍の果敢な姿勢は、ロシア軍をあせらせました。日本陸軍からの猛攻も始まって、やがて孤立したロシア旅順艦隊は自ら動き出してしまい、8月に黄海開戦が勃発します。
 
 広瀬の死は衝撃でしたが、経過や結果を見ると、無駄死にではなかったように思えますね。ただ、その死によってロシアとの大切なパイプが失われたことは、その後の日本史にもかなり深刻な影響を与えた可能性があります…。
 
 
 【『坂の上の雲』のいいとこ…!】
 戦争ドラマは、悲惨さや憎しみを込めようとすればいくらでもできるでしょう。
『坂の上…』では、敵国ロシア人にまで友情や愛情を感じさせ、それでいて戦争を美化しないで描いてます。また、当時の戦争の必然性もしっかり見据えています。庶民が開戦に狂喜する様子も、自然に出てきます。当時の人々の率直な反応が分かる内容で、太平洋(大東亜)戦争後の平和主義に毒されず、また 戦争を美化するでもない…、中身のある人間・国家を描いている優れたドラマだと思います。
 今回は激しい砲撃が見ものとなる一方で、開戦の新聞号外を見て動揺する正岡律(菅野美穂)や真之の妻・季子(石原さとみ)たち女性の心情も描かれ、とても丁寧な作りだと感じました。
 
 
 次回は、201112月、「旅順総攻撃」です。
さて、来年もずっと『坂の上』を見続けられる人は、果たしてどれだけいるのでしょうか…(^ ^;)
旅順攻防戦なみの死傷(脱落)者が予想されますが…、みなさん、戦死せずについてきてください() 坂の上の雲めざして、突き進みますよ~!
読んでくださったみなさん、だんだん(^^) ありがとう!!
 
 
 
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コメント

No title

旅順港閉塞作戦は秋山真之が立案したはずなのに、
ドラマでは反対する立場になっていて、しかし積極的に作戦を遂行していたので
なんだか見ていて頭が混乱しました。
広瀬の死に関わっていない、とでもするつもりだったのでしょうか?
ちょっと改変の意図がつかめませんでした。

ともあれ、マカロフ中将も生き残ったまま、今年の放送は終了。
というわけで、来年もよろしくお願いします(笑)。

No title

こんにちは。
たしかに双方に事情があり、生きている人どうしは敵ではないのですよね。
たしかに良いところだと思います!

これでまた来年末・・・ながいですねぇ☆

No title

☆鉄平ちゃんさん

たぶん制作陣の人たちは、あの作戦をあまり評価していなくて、なるべく秋山真之の関わりを小さくしたかったんじゃないかと…、ドラマの展開を見ていてそう感じました。
詳しく知らないのであんまり言えませんけれど、この後 有馬良橘が指揮を外されているので、有馬の関与・責任が大きいという判断なのではないでしょうか…?

作戦決定後の真之の積極的な態度は、山本五十六がそうであったように、たとえ不服があっても軍人として決定に服従しその中でベストを尽くすということで、ドラマのところどころでそのようなニュアンスが滲み出ていたので、軍の規律や真之の葛藤も表現され、うまいストーリー技術かなぁと思いました。

ただでさえきつい3年越しの企画が、昨夜はお笑いのM-1最終回をぶつけられてかなりのダメージを受け…、来年はもうほとんど仲間がいないんじゃないかという気がしてますが…(笑)、なんとかがんばりたいです、こちらこそ どうぞよろしくお願いします(^ ^ゞ

No title

☆ハニー先輩さん

戦闘の殺傷現場を見たら誰でも相手国を憎むでしょうが、その戦争の背景に、日常の友情や交流もあったんだってことが、『坂の上の雲』を見てると伝わってきますよね!

今の時代に、“また来年”てのは、えらい気の長い話ですよね~(^ ^;)

No title

「坂の上の・・・」の司馬遼太郎の日露戦争観はいろいろ論議されていますが、ここは一つ提起します。小説・ドラマでは、この日露戦争は日本の祖国防衛戦争史観が強調されているように思えますが、それも否定せずに一つ加えるならば、帝国主義戦争の側面もある、というのも忘れてはいけないかと思われます。この日露戦役では、戦場となった地元中国では散々に解釈されています。でもこれも間違ってはいないでしょう。現地、旅順市の立てた看板には、「わが土地で帝国主義どもが勝手に戦争をし、何万という中国同胞が殺された」と書かれています。
ロシア・日本、両国のどちらでもない領土で争われたことも忘れてはいけない事実かと思われます。なお、トルコでは、クリミア戦争、露土戦争なでロシアに敗北してばかりだったので、大きな影響を残し、さらにロシアに苦しめられていたフィンランドやポーランドも同様でした。だからといって彼らの反露・ソ連戦争に日露戦争が大きな影響を及ぼしたという証言は聞きません。

No title

☆kazunnさん

多くの日本人は、日露戦争を帝国主義戦争、ヘタすると日本の侵略戦争だとか思ってきたんじゃないでしょうか?だから、司馬遼太郎は、中道に正すべく祖国防衛の面を強調したのでしょうね。

戦場となった中国が日露戦争を非難するのは、ごく当然です。ただし、憎悪が憎悪を呼ぶような戦争回顧は、やめるべきでしょう。
また、自国民を守れなかった清国政府の責任なども客観的に考えるべきで、そこらへんのことを今の中国政府はよく理解して帝国主義化しているように思います。

日本の勝利が世界中に影響を及ぼしたことは、まず間違いありません。独立を目指すアジア諸国から留学生が来るようになったし、そもそも 現実問題としてあらゆる面で画期的な戦争で、世界外交に影響を与えており、独立を目指す小国が影響を受けないはずがありません。
(続きます~)

No title

☆kazunnさん

(続きです~)
最後に、戦争を、単なる侵略行為ととらえると、なぜ起こるのか理解できないのではありませんか?
平和主義者の少なからずが、“絶対悪”があるかのように考えてますが、そんなものは ありません。戦争をやりたがる軍人がいるにしても、たいていの場合、各国の苦しい事情の末に やむなく戦争が勃発します。
平和主義に毒されていると、人を守ることの大切さや厳しさも分からず、ヒトラーの侵略を許した第2次大戦前のイギリスのようになってしまうかも知れません…!

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清水しゅーまい

Author:清水しゅーまい
ご訪問ありがとうございます(^-^)
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①大河ドラマや歴史の話題、②猫観察、③映画鑑賞、
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そして、友情・人情・心意気です!

猫愛好家のフリーなライターです

清水しゅーまい
【著書】
『車猫が出てきた! ~ノラ猫の秘密~』2018年(東京図書出版)
『八っつぁんの落語一代記 噺家の来た道、日本の来た道』2015年(彩流社)
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