FC2ブログ

記事一覧

【裁判傍聴】無賃男 完成された社会システム

 ごくたま~に 裁判傍聴の話を書いております。
今回は無賃乗車事件の裁判です。無賃乗車は、罪名としては詐欺になります。
 
 【大胆かつ巧妙()な手口で目指すは夜の新宿】
 被告人1964(昭和39)年生まれ、住所不定・無職の男。
 ある日の午後11時に山梨県甲府市でタクシーに乗り、日をまたいで午前0時45分頃に東京の西新宿1丁目に着くまで無賃乗車しました。タクシーの被害額は、乗車料金4万6700円+高速料金3700円の、合計5万400です。やっぱり高いですね、タクシーは……、なんてことを書きたいわけじゃありません。
 運転手さんは、乗せた時の被告人の態度が堂々としていたので、信用して西新宿まで行ってしまったそうです。着いたところで被告人が「財布なくしたから払えない」と言ったあと逃げるそぶりを見せたため、運転手さんはドア ロックをかけて警察に連れてったのでした。
 
 若くて迫力のない男性検察官が裁判のなかで「その犯行態様は、大胆かつ巧妙なもの」と言ってました。大胆なのは もっともだとしても、この犯行のどこが巧妙なんでしょう()。「大胆かつ巧妙」ってフレーズは検察官がよく使う言い回しの一つなので、つい使ってしまったんだとは思いますが…。
 
 さて、この被告人は前科12犯があって、そのうち無賃乗車が4犯
どうやら、この10年間ほど、無賃乗車して刑務所、出所、また無賃乗車して刑務所……、って感じで繰り返してたらしいです。前回の出所後に 一応 職探しはしたらしいのですが、結局 何も見つからず…、ふと気づけばタクシーへ…。
 被告人質問の時に、優しそうな女性裁判官が「こういう訊き方するのもどうかと思うんだけども、むしろ刑務所にいたかったの?」と訊くと、被告人は「そうかも知れませんが、そんなに深く考えてません」と答えていました。
 
 
 
 【無賃男は、無賃乗車をし続ける。その命が 尽きるまで】
 どうしようもない男だ、と私は思いました。しょぼい事件だし、こんなのはすぐ忘れよう…、とさえ思いました。
 でも、なんとなく心の底にこの事件が引っかかっていて…、不景気や就職氷河期のニュースを見ていた時、ふと 思ったんです。
 
   “あの事件、あの犯行形態…、
     あれは、もしかしたら完成された社会システムなのかも知れない”
 
  ちょっと大げさではありますが…(^ ^;)
 でも、無賃男には、頼りになる身寄りがなく、住まいもなく、職もない。
「大胆かつ巧妙な犯行」に及ぼうにも、そんな知恵も度胸もない。“ないない尽くし”です。
 
 だったら、無賃乗車をして、そのまんまタクシーで警察まで連れてってもらえば、加害者・被害者・警察官と、一場にみんなそろって話が早い。タクシーにはメーターが付いてるから、被害金額も明快だ、こんな立証がラクな事件はない。誰かにケガをさせることもなく、無賃男は留置場でありがたく食にありつける…。
 運転手さんだけは、大迷惑ですが。
 
 これからも、無賃男は無賃乗車を繰り返すことでしょう。タクシーが先払い制にならない限り。もちろん、景気がよくなって 無賃男にもできるような仕事が見つかれば、話は変わってきますが……。。。
 
 
 厳罰を科しても、結局のところ、その受刑者のための居場所を作らなければ、解決にはなりません。仮に無期懲役に処したとすれば、それは私達がずっと受刑者を養い続けるということで、死刑とはまた違った意味で重い決断になります。要は、みんなで金を払って、刑務所という居場所を提供している…。裁判を見聞きしていると、人の存在意義や居場所について、時々 考え込んでしまいます。
 
 
●この裁判での求刑は、懲役3年。後日、懲役2年(未決勾留日数中の10日をその刑に算入)の実刑判決となりました。


  

 
   ブログ村に参加してます~
  https://tv.blogmura.com/tv_jidai/ ←ブログ村「大河ドラマ」ランキング
 
 
   ブログラム ランキングはこちらです~(清水しゅーまい ページ)
   ↓大殿様(近藤正臣)、純米吟醸酒、高杉晋作、お龍(真木よう子)、サン=テグジュペリなど
スポンサーサイト



コメント

No title

そういう意味では・・大胆かつ巧妙な手口かも・・
電車に乗るお金もないってことでしょうか・・

ムショ暮らしの方がマシ・・といって、小さい犯罪を犯すやつ。。。
宿さえ与えてほしくないです・・
庶民の税金なのにさ・・( ̄▽ ̄;)

No title

タクシー運転手でたまに殺害されたり暴行されたりしてるので
死角のある後ろに乗せるのは怖いですよね
それをドアロックして警察署まで連れて行ったとは勇気あります!

確かにタク高い(≧ω≦)
わたしも新宿とかからだと深夜2万弱かかるのでタクチケゲットのときしか乗りません。キッパリ。

それにしても巧妙とは(*≧m≦*)

No title

☆emmaさん

電車に乗るぐらいのお金はあったんでしょうけども、もう自然とタクシーに乗ってしまうような思考回路ができてるんでしょうね…(^ ^;)
刑務所に入れないと、もっと大きな犯罪に手を染めることになるので、やっぱりダメですね。
一度転落すると復帰が難しい今の社会のほうにも、問題があるかなとぼくは思っています。。

No title

☆ななおんさん

たしかに、一時期 タクシー狙いの強盗傷害・殺人が続いたことがありましたね。近頃は防犯カメラ付きのタクシーもあるけれど、夜道をゆく運転手の仕事はやっぱり危険がありますね。

無い知恵を振りしぼったあげく、大胆かつ巧妙な犯行に失敗しました(笑)

No title

昔、『島流し』という刑がありましたね。そこで種と小さな畑を与えて自給自足をさせましょう。沖ノ鳥島あたりがいいかな。輸送費と種代と当面の食費しかかからないし。

No title

☆kazunnさん

島流し、けっこういいアイデアかも知れませんね(笑)
自給自足というのがいいし、青空の下で開放的な監獄がつくれそうです。
しかも、そこで生きているだけで辺境の地の守りになり、受刑者に何か自覚が生まれそうな気もします…!
何かそれに近いことを企画できないものでしょうか。。

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム

プロフィール

清水しゅーまい

Author:清水しゅーまい
ご訪問ありがとうございます(^-^)
 このブログは、
①大河ドラマや歴史の話題、②猫観察、③映画鑑賞、
④裁判傍聴、⑤日本酒など……という感じになっております。
その他、本やテレビ、お気楽な話題に時事問題、
そして、友情・人情・心意気です!

猫愛好家のフリーなライターです

清水しゅーまい
【著書】
『車猫が出てきた! ~ノラ猫の秘密~』2018年(東京図書出版)
『八っつぁんの落語一代記 噺家の来た道、日本の来た道』2015年(彩流社)
このブログを含めてcopyrightは清水しゅーまいです。
 ご訪問のみなさまに幸あれ!
  私にそのおすそ分けあれ…!!

最新記事

カレンダー

01 | 2020/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

最新コメント

月別アーカイブ